ひょいと青森 世界自然遺産白神山地トレッキング
1日目悠久の自然が生み出すパワースポット!
『暗門渓谷ルート』と『世界遺産の径ブナ林散策道』

世界自然遺産白神山地には、初心者から上級者向けまで数多くのトレッキングルートがあります。1日目は本格的な沢歩きが楽しめる『暗門渓谷ルート』と、スニーカーでも気軽に散策できる『世界遺産の径ブナ林散策道』の2つを歩きます。今回は編集部と一緒に、トレッキング初心者・青森県庁職員の佐藤美咲さんもチャレンジします!

真夏でも涼しい青森へ!

1日目 7:15~

名古屋から青森へは約80分のフライト。青森空港着陸直前、機窓から眺めると眼下には、青々とした森が広がっています。トレッキングデビューに、ドキドキもワクワクも高まります♪

トレッキングを100倍楽しむ下準備

1日目 9:55~

青森空港到着後、レンタカーで白神山地方面へ。白神山地は鹿児島の屋久島とともに、日本で初めて世界自然遺産に登録された記念すべき場所。まずは予備知識を仕入れておこうと、途中『白神山地ビジターセンター』へ立ち寄りました。

展示ホールに足を踏み入れると聞こえてくるのは鳥のさえずり。場内にはひんやりとした空気が漂っていて、まるで山の中にいるような感覚です。ブナの木は樹齢20年でも高さ2mほどにしかならず、80年を超えたあたりから一気に大きくなり、200~300年もの間生きるのだとか!若い時は細く頼りない木が、両手を回しても足りないくらいの巨木に成長する過程を学びながら、今回の旅の目的であるトレッキングルートの起点へと移動します。

1日目に挑戦するのは、『アクアグリーンビレッジ ANMON』を起点とする『暗門渓谷ルート』と『世界遺産の径ブナ林散策道』の2ルート。ご案内いただくのは、白神山地を良く知るベテランガイドの渡邊禎仁さんです。

ガイドについて

白神山地トレッキングにはガイドの同行をおすすめします。経験豊富なガイドが安全なルートを確保し、自然の楽しみ方を教えてくれます。
また、『暗門渓谷ルート』に入るためには、通行届が必要です。事前に『白神山地総合案内所』(TEL: 0172-85-3021(アクアグリーンビレッジANMON敷地内))にお問い合わせください。

マイナスイオンたっぷり 沢登りに初挑戦!
[暗門渓谷ルート]

1日目 11:30~

『暗門渓谷ルート』を安全に楽しむために、ヘルメットと専用の地下足袋を『アクアグリーンビレッジANMON』敷地内の『白神山地総合案内所』でレンタル。底に凸凹があり、滑りにくい地下足袋は、通常よりワンサイズ大きめを選ぶのがコツです。事前に5本指か足袋型の靴下の用意もお忘れなく。
地下足袋に履き替えていると「空の水筒かペットボトルも準備してね」と渡邊さん。
さぁ、最初のコースへ出発!

『アクアグリーンビレッジ ANMON』を出て3分、『暗門大橋』を渡ったら、世界遺産地域へと入ります。小径をしばらく歩くと、ブナ原生林から流れ出す湧き水の水飲み場がありました。ひと口飲むと、キリっと冷えた水にほんのりとした甘みを感じました。渡邊さんいわく、この水で作った氷で飲むお酒は格別なんだとか。「きっとトレッキングの後に飲むお酒もおいしいはず!」と佐藤さん。先ほど準備した空のペットボトルを湧き水で満たしたら、いざ『暗門渓谷ルート』へ!

『暗門渓谷ルート』のハイライトは、野山や川を越えたどりつく『暗門の滝』。第1、第2、第3の3つの滝からなり、私たちは一番手前の第3の滝を目指します。

さぁ、ここからがトレッキング本番。
「木には光を多く必要とする陽樹と反対の陰樹があって、ブナは陰樹。森で迷ったらクロマツなど陽樹がある方に行くと道に出るから覚えておいてくださいね」。いざというときためになる渡邊さんのトリビア話に耳を傾けながら、自分のペースで歩きます。

このルートの醍醐味は沢登り。水飲み場から10分ほどで最初の沢登りポイントに到着しました。
「うわっ、冷たい!」
川に踏み込むと水温の低さにびっくりする佐藤さん。しばらくすると、汗ばんだ体には、この水の冷たさが心地よくなっていきます。「今日は水位が浅いから歩きやすいですね。でも石の上は滑りやすいので僕の後をついてきてください」。増水時にはひざ下まで水に浸かることもあるそう。足場に注意しながら渡邊さんについて歩きます。

転ばないようにと足元にばかり気をとられていましたが、ふと視線を上げると、太陽の光が川面に反射して周りの木々が一段と輝いています。川のせせらぎと風の音に包まれて心が洗われるようです。

歩みを進めると、川岸の絶壁から流れ落ちる湧き水を発見。「もし雨が降らなくなったとしたら、この山はあとどれくらいの間、私たちに水を供給できると思いますか?」。渡邊さんが質問すると「20年、いや30年くらいかな?」と佐藤さん。

正解はなんと“100年”。白神山地は、およそ100年分の水を地中に蓄え、私たちに恩恵を与えてくれるかけがえのない存在なのだそう。「大自然が作り上げてきた壮大な給水システムを守り、後世に伝えることが私たちの使命です」と、渡邊さんは森を見上げながら語ります。自然を守る大切さを身を持って考えさせられたひとときでした。

出発からおよそ1時間30分。上流に向かうにつれ、川の色が徐々に透明から“白神グリーン”と呼ばれる深い緑色に変わってきました。佐藤さんも編集部も少し息が上がってきています。「滝まではあとどれくらいかな?」「もう少しですよね」。励まし合っていると、急階段が目の前に現れました。幻の滝まであと少し!力を振り絞って一気に上ります!

野道を歩いては沢を登る、それを繰り返すこと約2時間。ついに目的地である『暗門の滝』に到着!
「スーッ、ハーッ」と大きな深呼吸をして、マイナスイオンをたっぷり取り込もうとする佐藤さん。「体の底からパワーが湧いてくるみたいですね」。
先客の家族連れと一緒に森林浴ならぬ“滝浴”を楽しんでいると、不思議なパワーに引き寄せられるように、大人も子どもも服のまま次々と滝つぼへダイブ!みんな童心に帰って水遊びです。びっしょり濡れても、冷たい服のおかげで暑さを感じることもなく、帰り道は快適で出発地に戻るころにはほとんど乾いてしまいます。無事『アクアグリーンビレッジ ANMONへと戻ってきました。

世界遺産の径を歩く
[ブナ林散策道]

1日目 14:30~

『暗門渓谷ルート』を完歩した後は、『アクアグリーンビレッジANMON』で待望のランチタイム。事前予約していたお弁当を受け取ったら一目散に木陰のベンチへ。沢登りの達成感に包まれながらいただくお昼ごはんは格別です♪

ひと休みしたら午後の部をスタート!『世界遺産の径ブナ林散策道』へと向かいます。入口は『暗門渓谷ルート』で通った水飲み場のすぐ隣。再び湧き水で水筒を満たしたら、森の奥へと続く階段を登ります。

階段の先に待っていたのは、ブナの木々の隙間から木漏れ日が差し込む美しい光景。太古から変わらぬ森の息吹を感じながら深呼吸すると、土の香りがして、大地からエネルギーをもらった気分に。足取りも軽く、落ち葉のじゅうたんが敷き詰められた遊歩道を進みます。

「 『暗門渓谷ルート』と比べて歩きやすいですね。」と佐藤さん。森の中をゆっくり歩いていると、足元に見たこともない植物を発見!「森の中には珍しい植物が自生していますが、貴重な自然を守るため、植物を手折ったりしないでくださいね」という渡邊さんの言葉を耳にし、記念にカメラでパシャリ。このうっすらと産毛が生えた珍しいキノコも白神山地の大切な宝ものです。

遊歩道沿いに立っていた木をよく見ると“文字”のような模様が。「かつてここでクマやカモシカを狩っていたマタギと呼ばれる狩人が、彫ったんですよ」と渡邊さんが教えてくれました。冬場、雪に覆われるこの山で、マタギが遭難を防ぐための目印を木の皮を剥いで彫ったのだそう。この文字は、彼らが縦横無尽に山を駆け巡っていた証。マタギたちは、自然の恩恵を理解して自然と共存しながら、8,000年もの歴史を持つブナ原生林を守ってきたのです。彼らに感謝しつつ、ゆっくり1時間ブナ林を散策。思う存分、世界遺産の小径を楽しみました。

がんばったからこそ
おいしさ2倍のご当地ソフト

1日目 16:20~

1日目のトレッキングを終えたら、お楽しみタイム。
『アクアグリーンビレッジANMON』内にある、センターハウスの『りんごソフトクリーム』をいただきます!普通のバニラソフトのようですが、甘酸っぱ~い香りがします。その匂いに誘われるようにひと口ぱくり。なめらかな口あたりとさわやかなリンゴの味わいが口いっぱいに広がって気分爽快♪

Pick up!

蜂蜜たっぷり極上スイーツ

『アクアグリーンビレッジANMON』から車で20分の『Beechにしめや』。この店の人気メニューは白神山地産の蜂蜜かけ放題のソフトやジェラート!シンプルなバニラ味のソフトにたっぷりかけると……濃厚な甘さの極上スイーツに大変身、自然のめぐみから生まれる上質な甘さが、疲れた体にちょうどいい!

疲れた体をゆっくり癒やす

1日目 18:00~

白神山地を後にし岩木山周辺の森を日本海側に抜けると、今回の宿『ホテルグランメール山海荘』に到着。夕日を眺めながら露天風呂で疲れを癒やしたら、いよいよお楽しみの夕食。ディナーは日本海で獲れた魚介類と地元の野菜をふんだんに使った会席料理です。

テーブルに並べられた目にもおいしい料理の数々。鍋からは、真っ白な湯気がもくもくと出ています。ふたを開けると、バターと磯の香りがふわっと広がる『白神アワビのバター焼き』。肉厚の身は軟らかく、旨みと甘みが口いっぱいに溢れた瞬間、たまらず地酒をくいっと一口。「あぁー、しあわせー」。

料理も地酒もおいしすぎて、あっという間にほろ酔い気分。杯を空けたところで1日目終了!明日に備えて、ふかふかの布団へ潜り込み、「おやすみなさーい」。