


松本城のおひざ元に、プロのそば職人が通う店がある。その透き通るそばの美しさと独特なコシの強さは、何度食べても驚嘆するほど、そうそう出会えるそばではない。北アルプスで育った玄そばを石臼で丁寧に挽(ひ)き、ソバ一粒一粒の中心のみを使用。粉の状態を見極めた主人が、三十数年磨き続けてきた腕で打ち上げ、口に入るまでに10日はかかるという代物だ。何も付けずいただくと、ほのかなそばの香りとまろやかな甘味。つゆは焼津産カツオ節で香り高く、そばの甘味を損なうことはない。「吟醸そば」という名が語るとおり、ごちそうに育て上げられたそばの逸品だ。



そばの概念を一気に覆される「吟醸そば」。すするというより、口に運び、モグモグ食べるそば。もちもちした食感で、とにかく甘い!かむ程に甘さが増し、香りは後から上ってくる。そばの実の中心の凝縮された旨みを味わえ。



半透明のそばの美しさは私の自信作。30年以上磨いてきたこの腕を、目と舌で確かめてみてください。
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そば処 もとき |




この店の大将は、これまでに1,500人もの弟子を持つ十割そば打ちの師匠。十割そばと聞くとボソボソの短いそばを想像しないか?しかし、そば打ち歴50年の名人のそばは見事だ。まるでつなぎを使ったかのように打ち上がっているではないか。井川城流、十割そばの一口目は塩でいただく。「十割そばは、そばの一番贅沢な食べ方」という大将の言うとおりだ、そばの芳香が口に広がり、驚くほどのコシ、かみ応え、喉越しも抜群だ。二口目はつゆを付けて。三口目は薬味の大根を入れる。続いてはネギを足して。薬味の使い方を教わり存分に味わう。安曇野産の本わさびは舌に乗せる。わさびで口の中の香りをリセットしたら、次のそばをいただく。ワサビをつゆに溶くなどもってのほかだ。



一枚目の十割そばは、そばの香りを楽しめる。二枚目の更科粉のみで手打ちした大名そばは、冷麺にも似たコシが特徴。香りは少ないが、そばの甘みを感じることができる。三枚目の2:8そばは、少し太めの麺がかみ応えあり。そば茶とともにいただく自家製そば大福まで堪能するべきだ。

大ぶりのニシンが乗った姿が圧巻な「にしんそば」。照り良く仕上げるまで手間暇は惜しまない。つゆは甘露煮の甘辛さが一番だしに溶け込んで優しい風味。はしでつまめばホロリと身がほぐれるほど軟らかく、ニシンとそばが絡んだ風味も格別だ。京都で生まれた名物が信州にこれほど合うとは。



分かりにくい場所にありますので、お電話いただければご案内します。予約も受け付けています。事前にご連絡ください。
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そば処 井川城 |

FDA便ご利用の方に「そば団子」をサービスいたします(要予約)。「おひさま」の中で、ヒロインの夫が自分のもとに赤紙が届いた時、陽子がいる学校に作って持って行った「そば団子」。私たちの地元ではかつて、あのそば団子は主食でもありました。塩味の素朴な団子ですが、「おひさま」の時代を体感いただければと思います。
※来店の際にFDA搭乗券をご提示ください。




松本城から程近く、なまこ壁の蔵のある町並みが残る中町の小さなそば屋。高い香りと甘味、旨味がある上に味が落ちにくいそば品種、標高800m以上ある長野県辰野町小野地区の20数軒の契約農家で栽培した「霧下そば」のみを使っている。石臼で挽(ひ)きぐるみにしたそば粉に、つなぎを1割加えて手打ちした九一そば。それを究極の細切りで味わう。みるみると色が変わる麺故、美しさに見とれずとにかく口へ運ぶべし。細い麺にはつゆが絡みやすい。細い割りにはコシがある。もそもそと咀嚼(そしゃく)するごとに、そばに閉じ込めた香りと甘みを楽しめる。メニューはもりそばとかけそばのみ。この勝負の仕方に自信を感じるというもの。



一見少なめだが、意外なボリューム感。薬味の一つ、辛味大根は大将のお気に入り。そば湯に入れるとみそ汁のような味わいに。使い切らずに残しておき〆まで楽しもう。



小さな店なもので時間の予約は受けておりませんが、そばの取り置きは対応させていただきます。事前にご連絡いただき14:00までにお越しください。ご来店の際、店がいっぱいのときは、少しお待ちいただくことになるかもしれませんが、ご了承ください。
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御そば打處 野麦 |




北アルプスの山々を望む、自然豊かな安曇野の山の中腹にある「あさかわ」。風情あふれる店は、安曇野の自然を生かした庭園も、店主自ら造った。初夏には山紫陽花(あじさい)、秋には紅葉に彩られ、四季の息吹を楽しめ、庭の奥にはそば畑。ソバの花の時期になると、真っ白いじゅうたんが一面に広がる。肝心のそばは、安曇野産のそば粉と北海道産のそば粉を独自にブレンドしたもの打ち上げ、麺はやや太めで香りが高く、舌の肥えた地元人も納得の味。話を聞きつけ遠方から訪れる人々もたくさんいる。そんな店のため平日でも待つことは十分頭に入れておくこと。待ち時間は庭を散策したり、地元の民話の紙芝居、季節の写真を収めた写真集などを楽しむ時間にする大人な余裕を持って臨むこと。



そのまま食べても旨いそばだが、安曇野に来たのならその土地の薬味と楽しんでみる。おひたしの「わさびの花芽」をそばの上に載せる。ピリリと効いた辛味が爽やかに鼻孔をくすぐる。



大変お待たせすることもあるかと思いますが、ご了承ください。
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そば処 時遊庵 あさかわ |

FDA便ご利用のお客様1グループにつき、「そばすいとん」1杯と、私の自慢である「安曇野の風景写真」を差し上げます。「そばすいとん」は、「おひさま」の時代も食べていた安曇野の郷土料理です。
ぜひ、味わってみてください。
※来店の際にFDA搭乗券をご提示ください。




北アルプスを一望する安曇野の高台に、目と舌をうならせるそばがある。玄そばを選り抜き、自家製粉。気候や気温・湿度を肌で測り、その日ごとに加減を変えながら打つ技こそ、主人が受け継いできた"翁流"。丹念に打ち上げた喉越しの良いそばは香り高く、かむごとにその旨味があふれ出す、深い味わいのそばだ。だしも枕崎産枯本節と函館の真昆布などを贅沢に用い、濃厚な風味を引き出している。引き締まっただしの旨味とそばの香りは、素材の持ち味そのまま引き出し、そばの旨さ、深さを堪能できる。



そばの命"香り"と"味"を存分に味わえる「田舎そば」。究極、そばを打つときの手の温度も、出来栄えを左右する。

地元・大久保醸造店のしょうゆが、濃厚なだしの風味を引き立てる。一口目は鴨の持ち味がふわりと広がり、二口目はその奥から立ち上がってくるような枯本節の香りを楽しめる。海と山の恵みに感謝。



厳選した材料から生まれた、贅沢なそばを味わってほしいですね。春夏秋冬の北アルプスの景色もぜひ!
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安曇野 翁 |




信州人はそば好きだ。しょっちゅう食べたいのだ。しかしグルメブームの昨今、郷土の信州そばはいつしか"おごちそう"なってしまった。そば屋に行って"もりそば"一枚で足りるはずがなかろう。おいしいそばで、腹イッパイになりたい。そんな期待に応えてくれているのが「くるまや」なのだ。メニューを見ると驚くほどに安い。もりそば472円、ざるそば493円。1.5倍のもりそば大盛り598円がある、。二人前ざるだと麺は2倍で987円。忘れちゃいけない、信州そばは腹イッパイが信条。地もののそば粉をブレンドして品質を下げず一定した味を提供する。喉越しのよいそばを、穂高名産本わさびとともにそば湯まで堪能すれば、100点満点である。



名物「気狂いざる」は、数名で注文する人も多い。運ばれて来たら笑い続けず、さっさと記念撮影を済ませ、腹イッパイ詰め込め。

ボリューム満点のもつ煮は、馬を食べる習慣のある信州だから"馬もつ"。12時間かけて、じっくり煮込んで味を染み込ませている。看板メニューなだけに、そばよりももつの方が注文数が多い月も。



有明山のふもとまで足を運んでもらっているのだから、麺を切らさないように息子と二人、一日中麺を打っています。少しだけお待ちいただくことがあるかもしれませんが、ご了承ください。
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手打ちそば くるまや |

